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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
大海を堺に連れ出している間に、紅天狗の一件を解決する。それが、皆の計画だったはずだ。だが行長は、彼らが過ごした十日ほどの日々に心底怒りを感じていた。
「まず、佐吉さん。どうしてこの評定に、吉継さんがいないんですか」
「あいつに、紅天狗の件は話していない。話せば病み上がりの体で無理をするに決まっている、俺一人で充分だ」
「充分な訳ないでしょう!? 佐吉さん、あなた聞き込みなんて一番苦手な仕事じゃないですか! どうせ、内通者の手かがりなんて掴めてないでしょうに」
佐吉は愛想がなく、さらには口が悪く態度も高圧的だ。そんな佐吉を前にして、素直に話をする人間は少ない。だからこそ行長は、吉継に協力を扇ぐよう言い出したのだ。
「何も掴めていない訳じゃない。最近、出入りする庭師の人数が増えたとは聞いたぞ」
「で、その庭師は何人、どこの誰が増えたんですか」
行長が訊ねれば、佐吉は口をつぐむ。十日もかけた結果にしては、あまりにお粗末だった。
「行長、そんなに言うなら続きはお前が一人で調べろ。お前は、少なくとも俺より口が立つはずだろう」