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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
「あくまでも吉継さんは巻き込みたくないと? もう具合も良くなっているでしょうに」
そっぽを向いて無視する佐吉に、行長は大きな溜め息を漏らしてうなだれる。
「分かりましたよ、私がやればいいんでしょう? まったく、冷たいのか優しいのかよく分からないお人で」
これ以上話を続けても、佐吉は頑として聞き入れようとしないに決まっている。行長は早めに見切りをつけると、次は高虎と孫六に目を付けた。
「それから、お二人共。佐吉さんの定石を否定しておきながら、まだ紅天狗を一人も捕まえられていないようですが?」
まず先に声を上げたのは、孫六の方だった。
「それは私のせいではない。この無駄に巨大な男が、私の聞き込みを邪魔するからだ」
「おいチビ、邪魔してるのはそっちだろうが!」
一言話しただけで険悪な二人に、行長は頭を抱える。おそらくはずっとこの調子で、聞き込みもはかどらなかったのだろう。
「他にも言いたい事はたくさんありますが、まず一つ。紅天狗は私達が動き始めた途端、身を潜めたそうじゃないですか。つまり、内通者がいるのは明らかという事です」