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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
いつ宴が終わったのか、大海に記憶はない。気が付けば日は昇り、大海は小さな部屋で寝かされていた。目が覚めれば、小夜が涙を流しながら抱きついてくる。思うところは沢山あるが、ひとまず小夜が無事に生きている。大海は胸を撫で下ろし、小夜の背に手を回した。
「おはよう、小夜」
「お姉ちゃん、よかった……揺さぶっても起きないから、どうしようかと思った」
小さく細い小夜の体は、昨日とまるで変わらない。全てが夢であればいいと大海は思うが、ここが長浜城である限り現実である。狂宴の果てに何があったのか。とてもそんな事は口に出せない。しばらく気まずい沈黙が続くが、それは小夜から破った。
「あ……あのね、今日は休んでていいって。宴はね、毎日違う人が出るんだって志麻さんが言ってたの。同じ人が毎日出てたら、人を用意できなかったように見えてけちくさいって」
「志麻さん……って、誰だい?」
「あ、うん。志麻さんはね、侍女頭なの。ほら、連れて来られた時に会ったでしょ? 三十くらいで、ちょっと目つきのきつい人」
確かに城へ着いてから、ずっと二人の面倒を見ていたのはその女性だ。