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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
大海が意識を失っている間も、おそらくその志麻という侍女頭が小夜の面倒を見てくれたのだろう。後で礼を言わねばと思いながら、大海は頷いた。
「毎晩続いてる宴も、そろそろ終わるだろうからって志麻さんは言ってたわ。数日の内に秀吉様が、織田の大殿に呼び出されるだろうって」
「織田の大殿……」
それどころではなかったために忘れていた疑問が、再び大海の頭を巡る。昨日の宴を思い出せば、食糧、酒、女と、随分散財している。畠山家を救うためやってきたはずの秀吉に、放蕩する余裕などないはずである。
織田からの呼び出し。ならばそれは、あまり羽柴家にとっては良くないものかもしれない。しかしそれで家中が混乱すれば、逃げ出す機会を得られるかもしれないのだ。今はひとまず大人しく様子を窺おうと、大海は密かに決めていた。
「あたし達は……どうなるんだい?」
「うん、志麻さんが言うには、侍女として羽柴に仕えなさいって。細かい事はお姉ちゃんが起きたら話すから、後で来いって言ってたわ」
「来いって、どこに?」
「わたしが案内するから大丈夫。志麻さんに、一通り城の中は案内してもらったから」