この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
大海が再び意識を取り戻したその時、外はまだ夜だった。今度は本当に現実らしく、体は大海の意志で自由に動く。起き上がってみれば着物は乱れておらず、隣の小夜も静かに寝息を立てていた。
(なんなんだい、あれは……)
大海は体を抱え背中を丸め、悪夢の恐怖に震える。とても夢とは思えない、しかし現実ならば、隣の小夜が気付かないはずはない。布団の中に戻ればまた悪夢に捕まる気がして、大海は部屋から抜け出した。
屋敷の外に出れば、目の覚める冷たい風が大海を突き刺す。もっと風に当たれば眠らずに済むだろうかと、大海が足を進めたその時だった。
「あなたはいつも、私が会いたいと思った時に現れますね」
背後から声を掛けてきたのは、本来ならこんな所にいるはずのない半兵衛。振り向いた大海が驚き目を丸くすると、半兵衛は大海に抱き付いた。
「は、半兵衛殿……?」
「お願いします。私を――助けてください」
半兵衛の声は弱く、消えてしまいそうだった。どうして侍女の屋敷の周りをうろついていたのか、何をどう助ければいいのか、分からない事は山ほどある。