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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
 
 冷たい手拭いは火照った体を収めるのにちょうどよかったのだが、それは取り上げられてしまう。そして今度は半兵衛自らが、大海の背中を拭き始めた。

「ふ……ぁ」

 だがその動きは、拭くというよりただ撫でているだけである。その上、明らかに落書きされていない下の方や胸の際まで、その手を伸ばす。

 そもそも、落書きが何でどう書かれているか大海には見えないが、武士の手際の良さを考えれば、もう落ちていてもおかしくはない。ただ悪戯目的で大海を弄んでいるのは、明らかだった。

「あの、半兵衛様……」

 武士も戸惑っているのか、不安げな声が大海の耳に入る。

「ああ、後は私がやりますから、戻ってもらって結構です。ご苦労様でした」

 半兵衛は武士を帰すと、再び大海に目を向けた。

「なかなか、雄犬の気配が落ちませんね。もっと丁寧に拭かないと駄目でしょうか」

 すると、大海の背中には手拭いではなく、半兵衛の舌が這う。温かい滑りは散りかけていた欲情を一気に集め、甘い声を誘発した。

「あっ、ん――」

 だが気分が高揚すれば、すかさず尻に平手打ちが響く。
 
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