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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
 
「それで半兵衛殿の眠れない辛さが紛れるなら、構いません。あたしが至らない人間だと思うなら、思う存分躾けてください」

 何をされるのかと怯えながらも、大海はきっぱりと言い切る。すると半兵衛は冷たい目を和らげ、大海を抱いたまま横になった。

「本当は怖がりのくせに、強がりますね。では、引き続きあなたの覚悟、確かめさせていただきます。囲碁は明日から始めましょう。今日は……私が眠れるまで、枕になってください」

 半兵衛は大海の胸に手を伸ばし、やわやわと揉みながら目を閉じる。だが、芯まで溶かすような動きには決してならない。

 焦れったい動きは、大海は甘いため息を漏らす。しかし半兵衛は、しばらく柔らかな感触を楽しむと、そのまま寝息を立て始めた。

 果たして自分は半兵衛の役に立てているのか、大海は確信が持てず眉間に皺を寄せる。半兵衛からすれば、大海は余計なお節介でしかないかもしれない。それがうっとおしくて、冷たい目を向けているのかもしれない。

 だが大海は、愚直に進む術しか知らなかった。半兵衛の気が楽になる言葉など浮かんでこなかったのだ。

 ならば、ただ側にいるのみ。それが自分に出来る事だと、大海は拳を強く握った。
 
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