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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
「それ、本当なんですか? そんな、あの子は一度やると決めた事を、すぐ放り出す子じゃないはずです」
「だとすれば、私の教え方が悪かったのでしょう。昔からそうです、どうも私は、人に気持ちを伝えるのが苦手なのです。あなたも、きっとすぐ嫌になりますよ」
「そんな事、ありません! あたしは好きですから、途中で投げ出したりしません」
「好き……とは、何がですか?」
思わぬ半兵衛の問いに、大海は畏縮しうつむく。訊ねたその瞬間、半兵衛の瞳の奥が、冷たく光った気がしたのだ。
「女が、囲碁を好きなのは、いけない事でしょうか……」
また何か責め苦を受けるのかと、大海は思わず声を震わせてしまう。だが半兵衛は、小さく溜め息を吐くと首を横に振った。
「いえ、何も悪い事はありません。ですが、あなたは自分の罪を全く分かっていませんね。やはり、躾が必要なようです」
「罪……?」
「あなたは私に寄り添うと、随分簡単に言ってのけますね。しかし、本当にそれが出来ますか? 嫌な事、辛い事は、あなたの心を折りますよ」
半兵衛は、大海の顎を取って語る。だが大海は、目を逸らさずに口を開いた。