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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
何も言えない、が、胸に痛みが走る。ほとんどの人間は、すっかり大海を『人間』として扱ってくれていた。その優しさに甘えていた事を、大海は思い知らされる。
ふと思い浮かぶのは、半兵衛の言葉だった。
(切腹と同じ辛さや痛みを、我慢出来るか……あたしは、耐えなきゃいけないんだ)
嫌だと泣き喚けば、髪を切り捨てて誓った覚悟が無駄になってしまう。自分の道を示すためにも、走る痛みから逃げる訳にはいかなかった。
市松は枕にしていた腕を抜くと、大海と自分の着物を脱ぎ捨てる。人としての矜持も捨てられたようで、大海の痛みはまた広がった。
「ん……」
だが、反して体は従順だった。市松の男らしく大きい手が首をなぞるだけで、背筋に痺れが走る。ここ数日、囲碁と共に受けてきた半兵衛の『躾』。大海は自分が自分でないようで、空恐ろしかった。
さらに感じる胸を触れられれば、大海は背を反らし喘ぐ。明らかに調教された後の反応に、市松は胸の奥がちりりと焦げるような気がした。
「すっかり一人前の遊女だな。ほら、自分ばっかり気持ち良くなってないで、俺のも楽しませろよ」