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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
 
「そんな時は、腕枕だ!」

 市松は大海を押し倒すと、大海の頭の下に自らの腕を敷く。そして大海の短い髪に何度も口づけし、また陽気に笑った。

「こうして市松様を枕に出来るのは、お前だけだぜ。感謝しろよ」

「いや、別に枕にしたいとは言ってないだろ……あたし、今日も半兵衛殿と約束してるんだよ。あんたの気遣いには感謝するけど、いらないから」

「お前さ、それが本気で通じると思ってんのか? 分かってて言ってるよな、無理だって」

 大海は言葉に詰まり、口を閉ざしてしまう。いくら大海が色事に疎くとも、策略は読める。

「なんで、志麻さんまで使って、あたしを呼んだんだい?」

 全ては、市松と志麻の企み。市松は怪しまれないようわざわざ離れに身を寄せ、志麻は酒を運ぶよう言いつけて大海をおびき寄せたのだ。

「お前だって眠れないなら、ちょうどいいだろ? 夢も見ない程深く、俺が抱き倒してやるよ。俺が飽きるまで――お前は俺の玩具だ」

 長浜に残ると決めたのだから、玩具扱いは逃れられるものではない。志麻が、お気に入りの市松の期待に応えて、大海を喜んで差し出すのも当然だった。
 
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