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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
「実はさっき、大海さんを尋ねて部屋に行ってみたんです。しかし、大海さんも小夜さんも、部屋にいなかったんですよ。どこに行ったのか、誰か事情を知らないものかと思って探していたんですが」
虎之助の頭に浮かんだのは、半兵衛。昨日の夜も、大海が半兵衛の元へ向かった可能性は捨てきれない。また、半兵衛ならば小夜が共に向かっても不思議ではない。市松がいないのは、二人を追って――そう考えれば、辻褄はあった。
「俺は……、あいつとは別行動をしていたから分からん。もしかすると、二人は半兵衛様の屋敷かもしれないな」
「半兵衛様?」
「根拠はない。が、俺も市松に用がある。俺は半兵衛様の元へ向かおう」
「でしたら、私も同行します。なぜでしょう、何か嫌な予感がするんです」
こんな朝早くからうろついているのだから、行長も何か事情があるのだろう。癪だが、今は状況を把握するため一人でも多くの知恵が欲しい。虎之助は胸の不快感を飲み込むと、頷いた。
二人が半兵衛の元へ向かうと、真っ先に聞こえてきたのは泣き声だった。襖の向こうから聞こえる小夜の声に慌てて駆け付ければ、困惑する半兵衛と小夜が目に飛び込んだ。