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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
 
 行長は吉継から事情を聞いているが、それを知ったのは、吉継が相談に現れてからである。そして吉継は、紅天狗の一件を知らない。大海の見張りに気を配る事など、元より出来るはずがないのだ。

「そっちこそ、その時間なら引き継ぎもあるでしょう。別行動って、あなた方は一体何をしていたんですか」

「それは……昨日は、市松がやけに張り切って一人で頑張るって言い出したから、任せたんだよ。俺は、高虎さんと酒を呑んでたから、監視の件は分からん」

「二人を見張るのに、市松さん一人に任せたんですか!? 信じられない、そもそもあの乱暴者が、監視なんて向いてないのは明らかでしょうが! なんで呑気に酒盛りしてるんですか!」

 行長に責められ、虎之助は苦い顔をする。だが、つい行長が大声を上げてしまったせいで、半兵衛が首を傾げてしまう。

「監視……? あなた方、何か知っているんですか?」

「え!? あー、いや、なんでもないです、こっちの話ですわ! それより、志麻さんの用事で大海さんが動いたんですよね? 私達は志麻さんに聞いてみます、半兵衛様は小夜さんを見てやってくださいな」
 
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