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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
「人手は多い方が良いのでは? 私も手伝います」
「泣いている女子を放って出払うなんて、そんな無粋な話はいけません。小夜さんは一番半兵衛様のそばが安心出来るでしょうから、ついてあげてください」
行長は強引に話を纏めると、半兵衛にお辞儀し虎之助を引っ張って部屋を出る。そして少し離れてから、大きな溜め息を漏らした。
「ふぅー……危なかった。半兵衛様はともかく、小夜さんに紅天狗の件を知られる訳にはいきませんからなぁ」
「半兵衛様は聡い方だぞ、今頃不審がってるんじゃないか?」
「ま、そん時はそん時です。それより、私は今から志麻さんを訪ねます。あなたは市松さんを探して、彼女の足取りを掴んでください」
「志麻に話を聞くなら、俺の方が適任じゃないか? あいつ、お前には冷たいだろ」
「じゃあ、私が市松さんと話をしろと?」
志麻は確かに尾張派を贔屓しているが、冷静に話を聞く余地はあるだろう。一方、市松は、敵対する行長と一対一でまともに話を聞くような神経を持ち合わせているとは思えなかった。
「……分かった、俺が市松を追う」
「頼みましたよ、もしかすると、紅天狗が動き出したのかもしれませんからね」