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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
 
 高虎は虎之助の主張を聞きながら、新しく酒を注ぎ、また一気に飲み干す。

「じゃあ逆に問うが、夫の立身出世を喜ばず嫉妬する女に、愛を語る資格はあるのか?」

「それは……」

「正室を娶る、それは好き嫌いの問題じゃない。政だと理解出来ず当たり散らすような頭の弱い女は、正室にしたところで俺の足を引っ張るだけだ。俺は俺の出世を共に喜び、支えられる女を側に置き愛したいと思う。そう思える女でなければ、わざわざ食い扶持を増やす意味はない」

 高虎は己の腕に釣り合う高い志の主君、そして志に見合った俸禄を求め渡り歩き、秀長という優れた主君を見つけている。女に対しても、それは同じ。与える分だけ求める物も多い、妥協を認めない生き方だった。

「もちろん、それが出来ない女に声は掛けないさ。俺はあいつを、高く評価している。それは、向こうも分かっているはずだ」

 高虎はそう断言するが、虎之助はそれに同意は出来なかった。色事に関する大海の認識は、想像以上に狭い。今まで切り込んできた虎之助の目から見れば、大海が高虎の真意を感じ取っているとは到底思えなかった。
 
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