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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
冷静になって見てみれば、いつの間にか大海や高虎達は姿を消している。市松は辺りを見回すと、うなだれ膝を抱えた。
「俺より先に、お前が慰めに行ってやれよ。その方が、きっとあいつも喜ぶ」
「なあ、市松。あのさ……騙していたようで、悪い。お前、俺と大海が恋仲だと思ってるが、それは間違いだ。あいつが道具扱いは嫌だって言うから、恋仲の振りをして男除けにしてただけで、本当は……」
「んな事は、とっくの昔に大海から聞いてる。だからなんなんだよ」
思わぬ市松の返事に、虎之助は言葉を失う。しばらく続く沈黙に、市松は顔を上げ首を傾げた。
「虎之助?」
「……お前、じゃあ恋仲じゃないと知っていて、身を引こうとしてたのか?」
「だから、それがなんだってんだよ。そんなの当たり前だろ、友が惚れた女なんだからよ」
市松はなんの迷いもなく、そう言い切る。だがそれがますます、虎之助の言葉を失わせていた。
「おい、なんだよ急に黙っちまって。殴りたいなら早く殴れよ。二度と目が眩まねえように、しっかり痛みを覚えとくからよ」