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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
「と、いう事でだ、虎之助」
市松は虎之助の両肩を掴むと、冷や汗を垂らす。
「どうやって謝ったら、今回の件を大海は許してくれると思う?」
今さらになって責任を感じ始めたのか、市松は明らかにうろたえた様子である。考えが深いのか浅いのか掴めない友に、虎之助は溜め息を漏らした。
「知るか。自ら嫌われるような真似をして、許されるもくそもないだろ」
「そんな事言うなよ! ああもう、なんで俺はあんな馬鹿な事をしちまったんだ……」
「とりあえず、もう酒は止めると誓え。破ったら切腹するくらいの勢いで覚悟しろ。まあ、お前一人で会いに行ったら門前払いされるだろうから、謝るって言うなら俺が取り持ってやってもいいぞ」
「おお……さすがは心の友よ! 愛してるぞ、親友!!」
「気持ち悪い、お前の愛なんて欠片もいらねえよ」
虎之助は冷めた物言いで市松を突き放すが、心には温かい感情が生まれていた。一人では詰まってしまう事も、二人ならば。市松は短絡的だが、悪気がある訳ではない。大海もきっとそれは、理解しているはずだと、虎之助は信じている。そして大海も市松も、互いに傷が残らず事が収まるようにと、心から祈った。