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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
市松は腕を組み悩むが、さほど時を置かず虎之助に答えた。
「そりゃ、俺だけじゃ決められない話だから、そん時にゃ大海と話し合うさ」
「けど、あいつの性格を考えてみろよ。お家の障害になるならと、何も言わず自ら身を引くぞ」
「何も言わないってのは、話し合いじゃないだろ。そんな事したら、真面目に話し合えって叱って連れ戻して、互いに納得がいくまで膝を突き合わせる」
虎之助が見上げてためらっていた壁を、市松はいともあっさり飛び越える。ほとんど同じ考えであるはずなのに、明らかに違った答え。それは、虎之助に衝撃を与えた。
「……だが、結局それじゃ何も解決してないぞ? はっきり答えを出せないままで、あいつは納得するのか?」
「虎之助、お前は一人で何もかも背負いすぎなんだよ。二人の事を、先回りして勝手に一人で決めようったって土台無理だろ。二人で考えれば、一人で考えるより良い解決法が浮かぶかもしれないし」
一人よりも二人。市松の言う通りだと、虎之助は今この瞬間実感している。急速に軽くなっていく心に、虎之助の頬は緩んでいた。