この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第19章 愛憎
大海は佐吉に全てを委ねるよう身を預け、歪みなく微笑む。それだけで、腹に蠢く黒い靄が一気に晴れた。
「……やめてくれ」
「佐吉……?」
「許すなんて言われたら、俺は自分を許してしまう。愛する資格も、愛される資格も、俺にはないんだ。こんな矛盾を、認める訳にはいかない!」
信頼を寄せた体を、佐吉は戯れに汚す事しか出来ない。責任を取れない我が身が、佐吉はただひたすら憎かった。
「あんたを許すのは、あんたじゃない。自分一人で悩んでないで、相手に話しなよ。そう、あたしに教えてくれたのは、あんたじゃないか」
「俺が?」
「あたしが、小夜の件で自分を許せなかった時さ。可哀想な自分に浸って、自己嫌悪していれば謝罪した気になって気持ちいいだろうって……そんな事より、間違いを認め謝って改めるべきだって、あんたはあたしに言ったじゃないか」
「……俺は、そんな傲慢な事を言っていたのか」
「あんたらしくて、いいじゃないか。あたしはあそこでそう言われてなければ、ずっと自分に酔っていた。あんたの言葉は厳しいけど、正しいよ」