この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第19章 愛憎
すると佐吉は大海の首から手を離し、頬に手を添える。今までと違う労るような温もりに、大海の頬は熱くなった。
「では……問おう。お前は、俺を愛してくれるか?」
「え、あたし?」
素っ頓狂な声を上げる大海に、佐吉は眉間の皺を深くする。よくよく思い返してみれば、大海は「相手は許してくれると思う」と、まるで他人事のような答えしか返していない。佐吉が何に悩み、靄を抱えていたのか。おそらく、根本的なところを大海は理解していないのだ。
「あの……佐吉?」
急に黙り込んだ佐吉を心配して、大海は佐吉を見上げる。だが佐吉は、邪のない瞳が今は小憎たらしかった。
「この馬鹿が! 真面目に話した俺が、完全に空回りだ!!」
「え!? ご、ごめん!」
「だから、理由も分からないくせに謝るなと言っている!」
佐吉は大海の両頬をはたくと、長い溜め息を漏らす。
「はあ……まさか俺以上の馬鹿がいるとは思わなかった。まあいい。分からないなら、分かるまでその体に教え込んでやるまでだ」
「分かるって、何が……!?」
だが佐吉は、戯れ言を無視してまた大海に口付けた。