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戦国ラブドール
第19章 愛憎
 
 すると佐吉は大海の首から手を離し、頬に手を添える。今までと違う労るような温もりに、大海の頬は熱くなった。

「では……問おう。お前は、俺を愛してくれるか?」

「え、あたし?」

 素っ頓狂な声を上げる大海に、佐吉は眉間の皺を深くする。よくよく思い返してみれば、大海は「相手は許してくれると思う」と、まるで他人事のような答えしか返していない。佐吉が何に悩み、靄を抱えていたのか。おそらく、根本的なところを大海は理解していないのだ。

「あの……佐吉?」

 急に黙り込んだ佐吉を心配して、大海は佐吉を見上げる。だが佐吉は、邪のない瞳が今は小憎たらしかった。

「この馬鹿が! 真面目に話した俺が、完全に空回りだ!!」

「え!? ご、ごめん!」

「だから、理由も分からないくせに謝るなと言っている!」

 佐吉は大海の両頬をはたくと、長い溜め息を漏らす。

「はあ……まさか俺以上の馬鹿がいるとは思わなかった。まあいい。分からないなら、分かるまでその体に教え込んでやるまでだ」

「分かるって、何が……!?」

 だが佐吉は、戯れ言を無視してまた大海に口付けた。
 
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