この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第19章 愛憎
「きゃあっ!」
玄関を出て屋敷の陰に回ると、半兵衛は大海を突き飛ばし転ばせる。そして、尻餅をついた大海を見下ろしながら迫った。
「なぜ、私を無視するんですか」
「無視なんて、してない――」
「性奴が口答えするつもりですか。身の程を知りなさい!」
半兵衛が怒鳴れば、大海は肩を震わせ縮こまる。目の色を変えた半兵衛には、決して逆らってはいけない。大海の身には、すっかりそう染み着いていた。
「も、申し訳ございません……」
「昨日も、一昨日も私は寝ずに待っていたというのに、お前は何をしていたのですか。もう、私の躾はこりごりだと?」
一昨日は市松に捕まり、昨日は小夜を案じただけで、半兵衛に不満があった訳ではない。だが言い訳を口にすれば、余計に半兵衛を怒らせるだけ。大海はただひたすら、許しを乞い頭を下げるしかなかった。
だがその時、茂みががさがさと揺れ、そこから高虎が現れる。高虎は大海を庇うように半兵衛の前に立つと、拳を握り節を鳴らした。
「こいつに悪さしているのは、あんただったか」
「高虎殿、あなたには関係のない件です。何も知らずに横入りしないでもらえますか」