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戦国ラブドール
第21章 急転
「自作自演にしても、大海がそばにいれば不可能だな。そのために、竹中半兵衛は大海を連れ出した……か」
自作自演ならば、そもそも誰かが侵入する必要がない。それならば、揉め事云々の前に、高虎が不審者を目撃しなかったのも不自然ではなかった。
「あいつらは、屋敷が見張られているとは知らないんだ。不審者が侵入出来る時間が宵の口しかなかったとは、思いもしないだろう。孔明も、地に落ちたな」
半兵衛は、紅天狗の一件を知らない。となれば、高虎が屋敷を見張っていた事も知らないはずだ。夜中なのだから、不審者が誰にも目撃されていなくとも問題ないと読んで、特に何も策は立てなかったのだろう。だが今は、目撃情報がない事が推測に真実味を与えていた。
だが、半兵衛を揺らすには証拠が足りない。全て憶測だと言われてしまえば、それまでである。秀吉の腹心である半兵衛を追及するには、言い逃れの出来ない決定的な証拠が必要だった。
「……大海は、これを知ったらどう思うでしょうか」
すると、虎之助はぽつりと呟く。高虎が目を向ければ、ひたすら大海を心配する男の顔がそこにあった。