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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
だが高虎の目に、半兵衛は怯まない。むしろ疑いの目は虎之助を除く全員に、高虎へ対する不信を抱かせる。真っ先に声を上げたのは、佐吉だった。
「藤堂、口が過ぎるのではないか? 半兵衛様は秀吉様の軍師、鉄砲玉に過ぎないお前が、侮辱して良い相手ではない」
「私も佐吉さんに同意しますわ。あんた何様ですか? 紅天狗に対してはあんたが責任者かもしれませんが、だからって一番偉くなった訳じゃありませんよ?」
「はっ、軍師様なら、何をしても許せと? そうやって思考を停止して、もしこいつが紅天狗と内通していたらどうする」
高虎がさらに半兵衛へ追及しようとしたその時、大海が、床に拳を叩きつけ皆を遮る。
「――半兵衛殿の元へ向かったのは、あたしの意思だ。誰のせいでもない、小夜から目を離したのはあたしなんだ! 半兵衛殿の問題じゃない、責めるなら、あたしを責めるべきだろ……!!」
「俺は、別にお前を責めたくて言ってる訳じゃない。なんでそう自虐的なんだ」
「あんたこそ、そうやって言葉をすり替えるんじゃないよ! 結局、あんたは小夜から目を離した事が悪いんだって、そう思ってるから人を責めるんじゃないか!」