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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
 
「違う! お前こそ、なんで俺の言う事を素直に聞かないんだ!!」

 するとその瞬間、怒鳴り合いになった空気を遮るように、吉継が手を叩く。そして大海の前に座ると、顎を取った。

「なに……んんっ!」

 人前である事も気に留めず、吉継は大海の唇を奪う。あまりに唐突な行為に全員があっけに取られ、破廉恥な行為を止める事すら出来なかった。

「ん……久々に、ごちそうさま」

 吉継が唇を離せば、大海は顔を真っ赤にして抗議しようとする。が、羞恥のせいで口が回らず、それはまともな言葉にはならなかった。

「な……なんで、こんなっ」

「君が悪いんだよ? 昨日あれだけ言ったのに、すぐまた自分を責めるんだから。君の性分はよーく分かった、やっぱり僕がそばにいなきゃ駄目だ」

 吉継は強引に隣へ座ると、大海の手をしっかりと握る。

「少し落ち着いて? 今は誰が悪いとか、責任のなすりつけをしている場合じゃないでしょ?」

 それに同意し頷いたのは、孫六だった。

「確かに、こんな退屈な議論を長々と続けるなら、眠った方が身のためになる。皆で集まる理由もないだろう」
 
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