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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
行長の疑問に、市松が思いつき手を叩く。
「正面からじゃねぇって事は、床から出たんじゃねぇか!? 地下に穴が掘ってあるとか!」
「そんな穴があるなら、捜索した時誰かが見つけてるんじゃありませんか? ああ、でも部屋の中に抜け道がないかどうかは、調べる価値があるかもしれませんね」
「だろ? だってそれ以外、誰にも見つからず人攫いなんて無理だろ」
「大海さん、乙女の部屋を探るというのも失礼な話ですが、協力してもらってもいいですか?」
「構わないよ。それで小夜が見つかるなら、床板でも天井でも全部引っ剥がしてくれ」
次に口を開いたのは、相変わらず眉間に皺を寄せた佐吉だった。
「もう一つ気になるのは、小夜の暴行事件だ。あれも、犯人は紅天狗ではないのか?」
「ああ、私も気になっていました。こうなった今、確かに真犯人として怪しいのは紅天狗、と言いたいんですが……」
「分かっている、だとしても、妙だ。紅天狗が犯人なら、その日に黙って攫えばいいだけだ。だがそれをせず、わざわざ周囲の警戒を強めるような真似をしてから拐かすのは、理に適っていない。あまりに不自然だ」