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戦国ラブドール
第22章 束の間の夢も
孫六は立ち上がると、部屋の襖に手をかける。そして座る高虎を見下ろすと、一言放って一人出て行ってしまった。
「前にも言ったが、私は好きにやらせてもらう。約束しよう、この事態を、必ず私が変えてみせるとな」
孫六の自信に満ちた捨て台詞に、高虎はますます目を険しくさせる。孫六が去った襖と高虎を見比べると、虎之助は慌てて声を上げた。
「あ、あいつは俺が後で話をしておきますから! 高虎さん……今は、紅天狗をどうするか、それを考えましょう」
「……勝手にしろ」
高虎は自身の両腕を前に組むと、それきり口をつぐんでしまう。仕方なく、続けて虎之助が話を進めた。
「じゃあ、その……紅天狗だが、どうやって小夜を攫ったと思う? 包囲しても引っかからなかった今、手がかりになるのはそこしかない。逃走経路を探るのが、最善だと思うんだが」
「ま、虎之助さんに今日ばかりは同意しますわ。しかしそれがちっとも分からないんですよねぇ、だって部屋は内側から細工されてましたでしょ? さらには侍女と高虎さんの見張りもあって、どうやって攫ったんでしょうねぇ」