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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
広がる石は、いつもの吉継の打ち手とまったく違っている。初めは手を抜いているのかと思っていたのだが、碁盤を見て大海は確信した。これは、自分の頭をそのまま写したものだと。
「うん、その通り。僕はね、君と会ったその日から、ずっと君を見ていた。だから、他の誰よりも君の事を知っていると思ってた」
「……感情が顔に出て読みやすいとか、単純だとか、馬鹿にするつもりかい?」
「そうふてくされないでよ。違う、僕が言いたいのは、全く逆だ。知っていると思っていたけれど……全然分かってなかった」
吉継が身を乗り出し、碁盤から石がこぼれ落ちる。ばらばらと鳴る音と共に、大海は吉継に押し倒され、床に縫いつけられた。
「半兵衛様と、話が出来た。もう絶対僕に振り向いてはくださらないんだろうと思っていたのに」
「吉継……」
「まさか、僕の手をそっくりそのまま真似するなんて思いもしなかった。普通、取りなそうとするなら、直接話をするものでしょ?」
吉継は大海を抱きしめたまま、笑い声を漏らす。少し呆れたようでいて、しっかり見守れる位置にいるのだと分かる温かい笑み。吉継の腕の中は、心地良い場所だった。