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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
大海を先攻にして始めた囲碁は、一度乱れた頭を落ち着かせる。ぱちりと石を置くたびに、大海は精悍な顔つきへと変わっていた。
「君の部屋、今日詳しく調べたんだ」
碁を打ちながら、話を切り出したのは吉継だった。
「隠し通路は、どこにも見つからなかった。あの日、あの部屋は、襖を外しでもしない限り、外から人が入るのは不可能だと証明されたよ」
「けど、侍女が部屋の前にいて、高虎も外で見張ってたんだろ? 神通力でもなければ、小夜を攫うなんて不可能じゃないか」
「うん、だからどう攫ったんだって悩んでたところ。君は、どう思う?」
すると、大海は手を止める。精悍な顔つきは、戸惑いへと変わっていた。
だがそれは、吉継の問いに対する戸惑いではない。大海の目に映っていたのは、吉継ではなく碁盤だった。
「ごめん、どう攫ったのかは、まったく分からない。あのさ……小夜の件、調べてくれてありがとう。それとはまったく関係ない事、一つ聞いてもいいかい?」
「ん、いいよ」
「あんた……あたしの打ち方、そっくりそのまま真似してるだろ」