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戦国ラブドール
第24章 赤壁の戦い②
小夜が叫んだ瞬間、見張りのいびきの音が止まる。起きたのかと緊張が走るが、見張りは寝返りを打つと、よだれを垂らしながらまた深い眠りについた。
「……大丈夫か?」
「はい……多分、揺すっても起きないくらい深く寝てます」
「なら、続けるぞ。半兵衛様が内通者とは、どういう事だ? あの方は秀吉様の腹心、子どもの集まりのような紅天狗のために、裏切るお方のようには見えないが」
「けど……全部あの人が仕組んだんです。私を、騙しながら」
小夜は縛られ動かせない拳を握ると、孫六に全てを語る。小夜が今まで見ていた、全ての出来事を。
「半兵衛さんは……わたし達姉妹をとても気に入ってくださって、二人とも側室に欲しいと言ってくださいました。秀吉様も自分にならわたしを下げ渡してくれるし、お姉ちゃんも慰みものから解放されるって」
「まあ、理屈は通っているな」
確かに半兵衛の権力があれば、姉妹を総取りする事は可能だ。しかし可能であるからこそ、なおさら紅天狗と関わる意味はないはずだ。孫六は眉をひそめながら、小夜の話に耳を傾けた。