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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
そして、嫌な予感を煽るように、悪い知らせが飛び込んでくる。
「高虎様、大変です! 紅天狗の赤月が、脱走しました!」
飛び込んできた武士は、慌てるあまり入るなり叫ぶ。高虎は壁を殴り苛立ちと不安をごまかすと、頭を掻き乱した。
「どうなってるんだ、一体! 見張りはどうした!」
「それが……見張りについていた吉継様も、見あたらないのです」
「まさか、あいつまで敵にやられたんじゃないだろうな……くそ、すぐに追う、皆に知らせろ!」
「は、はっ!!」
「志麻、お前は小夜を連れて控えろ! おねね様に矛先が向くかも分からない、そちらも警戒を怠るな」
「はい!」
半兵衛に罪を着せてまんまと逃げ延びた何者かが、暗躍している。そうとしか思えない動きに、焦りは大きくなる。紅天狗の大半は捕まったが、頭であろう赤月が逃げてしまえば、雑魚などいくらでも補充して紅天狗は再生してしまうだろう。ここで、逃す訳にはいかなかった。
そしてその頃、大海は気絶したまま町の外へと運ばれていた。大海を抱き上げ運んでいたのは、紅天狗の赤月。嫌な予感は、見事に全て的中していた。