この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
皆が頭巾をしている中、一人だけ顔を晒した人間がいれば、誰しもがそれを頭だと思ってしまう。皆の心に、紅天狗は全員捕まえたと油断が生まれていたのは間違いない。
大海は何があったかあまり判断がつかないが、全てを操っていた黒幕がさくや――黒月で、捕まったはずの赤月がここにいるのも、黒月の仕業だと確信した。
「けど……男だとして、どうやって秀吉様に取り入ったんだい。ただの侍女じゃなかっただろ、あんた」
「簡単な事だ。お前も一度使われただろう、香で思考を飛ばしてしまえば、何をしたかは忘れ、ただ気持ち良いという感覚だけが残る。脱いで見せなくとも、そんな気分にさせる事は可能だ」
「薬だなんだって、卑怯な真似ばっかり! 半兵衛殿を陥れたのも、あんたなんだね」
黒月の背丈や体格は、半兵衛によく似ている。体格はともかく、背丈は偶然の一致だろうが、これを知った黒月が利用するのは不思議な事ではない。女に変装して秀吉を欺くのだ、男である半兵衛に化けるのは、朝飯前のはずだ。
「小夜にも、薬を盛って頭をおかしくさせて、半兵衛殿と会っているんだと刷り込みをしたんだね」