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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
「ご名答。だが……まさかその半兵衛が不能だったとは知らなかった。知らせに向かわれては、私へ疑いがかかるのも目に見えている。紅天狗は、こんなところで終わる訳にはいかないんだよ」
いくら高虎達が見張っても、侵入者が見つからなかったのは、犯人が初めから屋敷の中にいたからである。小夜が拐かされた日に部屋へ入れたのも、さくやとして見張りに付いた後、半兵衛を装い小夜と接触したため。全ての犯行を成せるのは、さくやである黒月だけだった。
「そこまでして……あんた達二人は、何がしたいんだい! 町の人に悪さをして、傷付けて、そんな歪んだ道の先に、何があるのさ!」
「本当に、それが分からないで聞いているのか? むしろお前は――こちら側の人間だと思うがな」
黒月は美しい顔を歪め、遠いどこかを睨む。
「人間は、支配する者とされる者に分けられている。そして幸せは、いつも支配する者が独占し蓄えている。武士という身分であるだけで、贅沢し人から幸福を奪い取る……それを憎いとは、思わないか」
「はん、ちっとも思わないね。大体、武士が特別みたいに言うけれど、農民から成り上がった奴だってこの世にゃたくさんいるだろ。秀吉だってそうだ」