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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
その瞬間、大海は床に押し倒されて動きを封じられる。黒月は怒りに顔を赤くして、大海を怒鳴りつけた。
「黙れ、武士共の人形風情がっ!」
「あんたらは、なんにも分かっちゃいない。確かにあたしは慰み者の人形さ。けど、心のあり方一つで自由なんて簡単に手に入る。体はあたしの自由にならなくても、あたしは今も、充分に幸せだ!」
「――所詮は、飼い慣らされた雌犬か。もういい、お前なら私達の苦しみが分かるかと思ったが、これ以上話しても無駄だ」
黒月は赤月に視線を送り、顎で指示する。言葉がなくとも赤月は察したのか、大海の両腕を押さえて暴れるのを防いだ。
「薬は、簡単に人を狂わせる。例えば香もそうだ。少し配合を変えたり、使う量を増やせば……一時的ではなく、永遠に意思を壊す事も可能だ」
黒月が懐から取り出したのは、紙に包まれた粉薬であった。だが大海は、手のひらに収まるほど小さなそれに戦慄する。
「お前の強情さは、紅天狗には不要だ。人形で満足だと言うなら……本物の生きた人形にしてやろう」
「な……離せっ、離してっ!!」