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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
 
「そんな特例を持ち出して、簡単に身分が越えられると結論付けるのは愚かではないか? その武士に、お前は慰み者にされたのだぞ」

 黒月は大海の顎を取り、親指で唇をなぞる。蘇るのは、無理矢理純潔を奪われ、幾度となく悲しみと憎しみに塗れた日々。大海は、理不尽を感じた事に反論は出来なかった。

「確かに武士は、他の人間を道具扱いする事もあるね」

「そう、それが現実だ! その理不尽な支配から脱するため……自由を手に入れるためには、相手を滅ぼすしかない。奴らを掃討し私達の国を作る事が、一番確かな道なのだ」

 だが大海は、黒月の手を払い拒絶する。真っ直ぐに前を向いた瞳は、一辺の曇りもなかった。

「馬鹿言うんじゃないよ、それは自由になったんじゃない、首がすげ替わっただけじゃないか! 今度はあんたらの法度で武士だった奴らが虐げられて、いつかまた反旗を翻される。なんの解決にもなっちゃない」

「それの、何が悪い! 私達は散々我慢を強いられたのだ、今度は奴らを同じ目に遭わせてやる!」

「そんな事を言うようじゃ、あんたらは武士以下だ! あんたらに、人の上に立つ資格なんかない!!」
 
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