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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
尖った吉継の声に、黒月は苛立ちを露わにする。そしてそれを煽るように、吉継は皮肉めいた言い方で続けた。
「まだ気付かないかな? 半兵衛様は、犯人ではないと絶対的に証明出来るにも関わらず、それを主張しなかった。それは、どうしてなのか……全ては、君がボロを出すのを待つためだ」
「う、うるさいっ!! そんなものは、後付けだっ! 私が、お前達に遅れを取るはずがないんだ!!」
「いいや、君は二つ致命的な過ちを犯した。大海の背中に、『曹』って落書きしたでしょ? 僕らをからかって煽るための悪戯だったんだろうけど、それが裏目に出たんだよ」
「なんだって……?」
「あの落書きを初めに見たのは、その日の夜中に大海を連れ出した半兵衛様だった。本当なら、次の日に誰かが見つけるのを期待していたんだろうけど……実際は、その日の内に見られてしまった。これで、犯人は君に絞られたんだ」
黒月はそこで一つの過ちに気付き、歯を食いしばる。だが吉継は絶望へ叩き落とすように、さらに追い詰めた。
「文字が書かれたのは、その日の夜以降だ。その前であれば、身を清める際に消えてしまうからね。そしてその夜、大海は誰かに肌を晒してはいない」