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戦国ラブドール
第25章 赤壁の戦い③
「黙れ……」
「そうなれば、犯人が落書き出来る機会は侍女の屋敷の中、大海が寝ていた時間だけになる。そしてその日は、見張りがいた。半兵衛様が大海を求めて現れるまでは、誰も出入りしていなかったと証明出来る」
「黙れっ、黙れ!!」
「つまり落書きの犯人――紅天狗の内通者は、侍女の屋敷内にいる者だという事だ。その中で饗宴以来、屋敷へ入り込み侍女となった者は、さくや一人」
黒月は壁に拳を叩きつけるが、吉継は止まらない。
「さらにもう一つの過ちは、お小夜ちゃんが囲碁を習うのを止めさせた事だ。あれはお小夜ちゃんが飽きて止めたんじゃない。半兵衛様がお小夜ちゃんと二人でいれば、君が変装してお小夜ちゃんと接触する時、話が食い違って疑われる可能性があるから止めさせたんだろう?」
いざとなれば薬で思考を飛ばしごまかせるが、あまり薬を頻繁に使えば、小夜の精神が壊れてしまい、そこから真実が引き出される可能性もある。ならば、口車に乗せた方が楽なのは間違いない。
「僕達は、半兵衛様がお小夜ちゃんに近付かれると不都合なのは、犯人が半兵衛様に変装しているからだと推測した。そして侍女の中で半兵衛様に背格好が似ているのも、さくやだった」