この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
戦国ラブドール
第27章 未来への道に
試し斬り用ののわらを相手に、振るわれる木刀。風を切り何度もわらを打ちつけては、己の型を見直す。
「あんたが剣の稽古なんて、珍しいね」
大海が声を掛ければ、一心不乱に振るわれていた木刀がぴたりと止まる。
「大海、どうしたの?」
汗を拭い、木刀をぽいと投げ捨て駆け寄ってきたのは吉継。大海は水に濡らして固く絞った手拭いと、おにぎりを差し出した。
「ここにいるって聞いたから、差し入れに。邪魔じゃなければ、少しいいかい?」
「邪魔なはずないじゃない。ちょうど休憩しようかと思ってたところだし、遠慮なくいただくよ」
吉継は喜んで差し入れを受け取ると、近くの切り株に腰を下ろし、おにぎりの包みを広げる。大海はその前にしゃがみ込むと、吉継を見上げた。
「そんなところにいないで、座ったら? ここ、まだ余裕あるよ」
吉継は切り株の斜め後ろを指差すが、大海は首を横に振る。
「いいんだ、ここで。そっちだと、あんたと顔を合わせられないから」
どことなく緊張した面持ちの大海に、吉継は首を傾げる。だが大海におにぎりを勧められ、ひとまず一口頬張った。