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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
「うん、美味しい。料理出来るんだね、大海は。いくらでも食べられそう」
「別に、握り飯くらい誰でも出来るだろ」
「いや、出来ない奴は本当に出来ないから。前に佐吉が作った時は、おにぎり固く握りすぎて、固まった糊の玉みたいになっちゃってさ、あれは笑ったなぁ」
吉継は笑うが、大海は聞いているのかいないのか、全く顔の筋肉が動いていない。吉継は大海の顔を覗き込むと、再び首を傾げた。
「……やっぱり、今日の大海、何かおかしい。どうしたの?」
「お、おかしい事なんてないよ! ただ、その……話があるだけで」
大海は吉継の視線から逃れるようにうつむくと、意味もなく足元の草をぶちぶち引き抜く。
「あの……さ、うちの父親が、今長浜に来てて、一緒に堺へ行こうって言われたんだ。明日、出立するって」
「――大海、堺に行くの?」
「行こうって思った、けど……」
大海がさらに続けようとした言葉を遮り、吉継は大声を上げて首を振った。
「待って、嫌だよ僕、反対するから! そりゃ、僕のせいで君には痛い思いをさせたよ、けど、堺なんて!」