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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
「……半兵衛様と比べれば、私もお前も、変わらず小童だろうに」
孫六は、自分から小童と口にするのは抵抗があったが、言わずにはいられなかった。すると高虎は豪快に笑い出し、孫六へ木刀を投げた。
「ははは、小童か。そうだな、俺達はまだ、小童だ。まあ、振られる事も出来なかったお前と違って、きちんと玉砕した俺の方が、お前よりは大人だがな」
「人が優しくしてやれば、なんだその態度は! 子供扱いするな!」
「よし、じゃあその木刀を取れ。子どもじゃないと言うなら、俺を倒してみろ。今日はどちらかが倒れるまで、本気の勝負だ」
「いいだろう、私を侮った事、すぐに後悔させてやる!」
高虎の挑発に乗って、孫六は木刀を振るう。年齢も体格も違う二人だが、勝負は簡単につかなかった。大きく力のある高虎の一撃を皮一枚でかわし、孫六は素早く立ち回る。正反対の二人は共に武術へのめり込み、失恋の傷を忘れるまで汗を流した。
一つの恋が終わっても、それは全ての終わりではない。月の橋が掛かる夜を渡れば、訪れるのはあらたまの日であった。