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戦国ラブドール
第27章 未来への道に
 
「俺が傷付いているように見えるのか? むしろ俺は、あいつに感心したくらいだ。俺の思った通り、男を見る目のある女だったってな」

 高虎は木刀を下ろし、肩をすくめる。だが孫六の目から見れば、皮肉めいた笑みは強がりにしか見えなかった。

「今回の件……俺はまだまだ未熟だった。疑うべきでない人間を疑い、目を曇らせていた。疑心暗鬼になって自滅する人間の末路を、俺は近くで見ていたにも関わらずな」

 自滅した人間とは、おそらくは高虎がかつて仕えていた浅井家なのだろう。末期の浅井家を想像すれば、孫六も軽口を叩く事は出来なかった。

「しかし、疑わなければ足元を掬われるのも事実だ。現に浅井と同盟にあった朝倉家は、身内に裏切られ滅びたではないか」

「確かにそうだ、だからこそ、慎重に真実を見極めなければならない。だが俺は、真実を見極めもせずに決めつけてしまった」

「……だが、お前が疑ったからこそ、半兵衛様は赤壁の戦いを挑めたのだ。皆が盲目的にあの方を信じていたら、結果は悪い方へ変わっていたかもしれんぞ」

「だとしても、俺が未熟である事実に変わりはない。今の状態で大海へ、側室になれなどと言える訳がない」
 
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