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戦国ラブドール
第1章 拐かされた少女達
「妹の方が好みだな。お前は珍しい色をしている上に美しいが、少々鼻につく」
それは、態度なのか身長なのか。どちらにしても、武士が目を付けたのは小夜である。もはや小夜だけでも救う道は、閉ざされてしまった。
「そう睨むな。どこへも知れぬ土地へ売り払う訳ではない。拙者の城でこれから開く、宴の手伝いをしてもらうだけだ」
「宴……?」
「ああ、宴は美女の酌がなによりの馳走だからな。拙者の子飼いの中には、お前の背丈に映える男も沢山いる。きっと奴らも喜ぶだろう」
戦に勝利もしていないのに宴とは、奇妙な話である。しかも、この武士は信長の城ではなく『拙者の城』で開くと言ったのだ。つまりそれは、この武士が城持ち大名である事の証だった。
「お、お侍様、お名前を、伺ってもよろしいでしょうか?」
それほどまでに位の高い武士が、なぜ戦を放棄し田舎の村にいるのか。大海も動揺を隠せず目を丸くしてしまう。そのうろたえに自尊心を満たしたのか、武士は胸を張り答えた。
「拙者は藤吉郎。織田家一の家臣、羽柴藤吉郎秀吉よ」
月橋の姉妹は、羽柴秀吉に連れられ能登を去り、近江は長浜の城へと向かう。そこで待ち受けるのは、まさしく狂宴だった。