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禁断の果実に口づけを
第10章 普通に憧れる洋子
美しいアラフォー女性の髪型や化粧などが特集になっている女性誌を真剣に眺めた。
同世代の女優やタレント、読者モデルなどはプロがメイクしているし、撮影でいくらでも綺麗に魅せるのだろうが、自分と比べたら、天と地ほどの差があるルックスに溜息が出た。
『比べてもどうにもならないし、比べる方が間違っている』と言い聞かせてはみたが、何だか報われない気持ちにもなる。
自分の順番が来て、名前を呼ばれ、担当美容師に要望を聞かれた。
鏡に映る自分は真っ黒な髪に、部分的には白髪すら生えていた。
こけしの様な伸びきったボブ。
「お客様の担当させて貰います、店長の石黒です。
今日はどうされますか?」と聞かれた。
見れば同性の同世代くらいのセンスが良さそうな担当美容師でしかも店長。
「あなたのセンスにお任せしたいわ!」
と挑戦状を投げつけていた。
「有難う御座います。
どんな風になりたいか?などの具体的なご希望はございませんか?」
「髪を切った、変わったというイメチェンが欲しいんです」
石黒はニッコリ笑って、「お任せ下さい」と一言言った。
アシスタントに指示し、シャンプー台の方に案内された。
シャンプー台に座り、椅子を倒されながら、アシスタントに髪を洗って貰い、席に案内された。
石黒が来るのを待った。