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禁断の果実に口づけを
第10章 普通に憧れる洋子
石黒がやって来て、丁寧なカウンセリングから始めた。
「お客様は柔らかい髪質ですね。
ですから、ふわっとしたショートなんかも似合いそう。
重く見えがちな黒髪には、軽さを出すような少し明るめなブラウンのカラーをお勧めします。
シャーギーを施し、優しいイメージを出しながら、柔らかい髪質を活かして流れを作ります。
元々、お客様の持ってらっしゃるキャリアウーマン風のイメージも出してゆきましょう」
私の髪を触りながら、鏡の前で説明をする石黒。
切れ長な瞳はやる気に満ちていた。
『見せて貰おうじゃない!
この店の店長の腕ってやつをさ…』
こけしカットで器量良しとは言えない洋子を変身させるのは至難な技かもしれない。
洋子自身、長年ボブヘアでいる事は、まず間違いないだろうと思っていた。
今風にチャレンジしたところで、自分に似合うわけないと諦めていたかだ。
でも、今日の洋子は違う。
年下男とのセックスがきっかけであろうとも、少しでも綺麗になりたいという冒険心に満ちていた。
「お任せするわ!」
と一言言うと、照れ隠しで用意された雑誌を手に取り読み始める。
「かしこまりました」
石黒も一言言うと、髪を切り始めた。
内心はドキドキの洋子。
それを隠す様にチラチラと切られていく髪を鏡で見ながらも期待していた。