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禁断の果実に口づけを
第14章 勃発
「はい。
社長が私的に会社の売上を着服してこれたのは、今までは大した額じゃなかったから、僕も経理も黙認してきました。
しかし、今回は額が大きい。
元々、優美子さんのお父様が、まだ無名のWhiteCandyに融資を優遇して下さったからこそ、一部上場企業としての今日があるんです。
まぁ、確かに社長は事業を成功させましたし、実力のあるお方です。
仕事面では尊敬もしております。
しかし、現在、大株主様でもあるお父様がこの事実を知れば、どれだけ裏切られたお気持ちになるか……
しかも、大半は遊びで遣い、女に貢いでいたとなるとね。
これ以上の裏切りを続ける前に早めに見切りをつけて頂くんです。
社長解任のお力添えをして下さる様、願い出るのも手です。
僕は狡い男にだってなりますよ。
貴女と日の当たる道を歩きたいからです!」
「…………理一さん、父には健さんの事を報告しましょう。
父の知恵も借りるのです。
父は、理一さんの事を悪いようにはしないわ」
「全ての証拠が出揃い次第、ご報告に参りましょう」
「ええ」
ハンドルを握る理一が一瞬ニヤリと不敵な笑いをした事に、優美子は気づく事もなく、この先の未来に期待と不安を抱きながらも、理一との恋が不倫という背徳感を背負った関係に終止符がつく日を願っていた。