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禁断の果実に口づけを
第15章 メリクリ
それでもオナニーをしてしまうと、多少の罪悪感の様なものを感じ、手や性器を洗う事でなかった事にしてしまいたい気持ちになる。
シャワーを浴びて、その思いと眠気を払った。
ダラダラを続ければ一日ほぼベッドで過ごし、グータラな休日として終わる。
シャワーですっきりした後は洗濯や掃除をした。
やっぱり、自分が生きる空間はクリーンなものでありたい。
家事が終わると一週間仕事で疲れた肌をマッサージし、パックを乗せた。
肌への労りやご褒美を与える。
洋子は、いつの間にかそんな自分を可愛いがれる様になっていた。
あの日から、なるべく女をサボらなくなった。
誰の為でもなく、本来は自分の為なんだ。
そんな当たり前の事を出来ずに、自分の環境を嘆くのはいささか大人気ないとも思い直していた。
くすみが取れた肌に化粧をすると、ファンデーションのノリが良かった。
肌がいつもより綺麗に見える。
丁寧に肌に重ね、眉を描き、アイシャドウを乗せ、アイラインで小さな目を誤魔化し、ルージュを引く。
化粧が終わりクスッと笑う洋子。
鏡はそんな自分の変化を素直に喜べる女の顔を映し出していた。
『笑えば、ブスも可愛げが出るのね…』
そんな簡単で当たり前の事に気づけないくらい、心が劣化していた自分に決別したいと思う、洋子三十八歳のクリスマスだった。