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禁断の果実に口づけを
第15章 メリクリ

 車のエンジンを掛けて走り出す。
車内もFMから流れるクリスマスソング。
明日になれば、クリスマスムードから一変し、年の瀬を迎え、新しい年に向けての準備が始まる。
仕事納めが終わったら、部屋を大掃除して、お土産を買って実家にでも帰ろう。
お年玉でもあげて、久々の親孝行でもしょう。


 あっ!!この間、伸介が歌っていた曲!!

 洋子はFMのボリュームを上げ、自然と口づさんでいた。

 クリスマス後に振られて、未練を断ち切れてない男の強がりを歌ってるのよね。
THE男の純情なんだよね…
女は男を完全に吹っ切るまでは泣いて過ごすんだよ。
新しい恋が始まるまで未練がましく面影を追ったりしちゃうんだ。
結構、堪えて惨めを繰り返したり…ね。
一生そのまんまで居られないから立ち直ろうとするけど、意固地になったまんまで可愛げまで無くしてしまったりもする。

 女は面倒臭いの。
って事は、私が一番面倒臭い?
だよね。面倒臭いもん。私は。

 洋子も自虐的になり、それを明るく笑いに変えてしまう事で楽にした。


 そう言えば、学生時代に恋愛にはかなりプラス思考な子居たわね…。
いつも元気に笑っていたっけ。
『私はブスだから待っている時間なんてない。
告ってくる男も居ないなら、自分からアピらないと恋は始まらないの!』なんて言いながら、しっかり幸せな結婚をGETしたんだよな…。

 『懲りない女パワー』なんて皮肉る子も居たけど、今なら分かるよ。

 自分をちゃんと分かっている子は、無駄な選択肢なんて考えていない。
指を咥えて待つ事をせず、ちっぽけなプライドも持たない。


 正々堂々と[自分]を生きている。

 見習わなくちゃね。私も。

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