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禁断の果実に口づけを
第16章 砂の城
「私達は元々何にもないとこから始まって、ゼロから積み上げてきた。
上に登るに従って、下の景色を見ようともしなかったのが今回の失点ね。
城を大きくするだけで謀反に気づかない愚かな城主にはなりなさにの健君。
負け戦でも戦ってこそだぞ」
「だよな。いくら高い酒を覚えても、何となく庶民的な店や梅干しを入れた焼酎に落ち着くっていうのは、居心地がいいんだろうな…」
「そうそう!!
健が夢を追い掛ける姿はめちゃ格好良いよ。
子供の様に目をキラキラさせてさ!
わたしはそういう健となら何度でも夢を見るさ!!」
「有難うな。真雪。
お前はいつも格好良いな」
「オカマへの褒め言葉は、綺麗とか美しいだろ?」
「かもな」
「健には感謝してんのさ。
見かけはごっつい男なのに、中身はまるっきり女のわたしごと理解してくれて仲間にしてくれた。
好きな世界で伸び伸びと仕事して生きてられんのはさーーあんたのお蔭。
わたしはこの場所が好きよ。
あんたが作ってくれた世界だからね。
わたしは最後まであんたの味方さ!」
真雪は健にウィンクし、すっかり冷めてしまったそば飯にかぶりついた。
真雪から聞いた事実に青ざめる健にとって、その姿は救いにも見えた。