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禁断の果実に口づけを
第16章 砂の城
 
 いろいろ考えながら、なかなか眠れずにいたが、いつの間にか眠りにつき朝を迎えた健。

 目を覚ます為にシャワーを浴び、会社に行く支度をした。
朝を迎えてもひっそりとしたリビング。
テレビをつけてニュースを流す。
輝は冬休みを迎えていて、昼近くまで起きてこないだろう。
優美子もいつの間にか輝の休みの日はそれに合わせて起きてこなくなった。
そんな事もいちいち気にしなかったのは、自分にも疚しい事があったし、優美子に家庭的な妻という部分では最初から期待してなかったからだ。
だから、普段なら別にどうでもいい類の事。
コーヒーが飲みたかったり、朝食が食べたいのなら会社の近くにいくらでもモーニングを営む店がある。
明日からは毎年恒例の家族旅行に輝を連れて自分の親と出掛ける優美子。
何度かその旅行に健も付き合わされたが、年末年始の忙しい時に社員だけに働かせて自分は旅行というのは気が引けた。
『忙しい。社員だけに任せられない』を理由に、いつしか行かなくなっていた。
その間、仕事には顔を出すが、その時に付き合っていた女の家に転がり込んで好き勝手にやってきた。

 『文句を言わない代わりに、散々好き勝手を当たり前の様にやって来たしっぺ返しが一気にきたのかもな。
年貢の納め時ってやつかもしれないな……』





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