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禁断の果実に口づけを
第17章 嫉妬の炎が揺らめいて
洋子は優美子の言いかけの言葉が気になったが、その先の言葉を予想すると、自分には手に負えそうもない案件だという事に薄々感じてもいた。
タイミング良く朋子が戻ってきてくれた事で、少しだけ先延ばしに出来た事にホッとしたくらいだ。
洋子の頭の中は、優美子の怒りを鎮め、予想が外れてくれる事を祈りながら、適切な言葉で切り替えしてゆけるのか不安でいっぱいになっていた。
「倉橋さん、風間様にその保険がどんな内容なのか、分かりやすく説明して下さい」
少しでも時間稼ぎが必要だった。
『余計な事は一切言うな!』と朋子に怒鳴ってしまいそうなくらい、イライラしている自分を抑えている洋子。
陰湿な瞳をギラギラさせながら、朋子を見る優美子。
僅かに手を震わせながらパンフレットを開く朋子。
平静を装おうとして強張る笑顔を見せ、パンフレットに書いてある事項を丁寧に読み上げながら説明していく朋子も心中穏やかではない。
目の前の優美子はキィと睨んだキツイ目を再び朋子に向けていた。
緊迫した雰囲気に包まれた応接室に女の火花が散り始める。