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禁断の果実に口づけを
第18章 女の本性
「倉橋さん、泣いて逃げちゃお話になりませんでしょ?
それくらいの事をしたという自覚はお持ち下さいね。
年明けにでも、事の真相をしっかり聞かせて頂きたいもんだわ。
全く、年の瀬だというのに厄介な事ですこと…」
優美子は晴美に抱き抱えられて泣き崩れていた朋子に追い打ちの言葉を掛けた。
「誠に申し訳ありませんでした!」
洋子が優美子に頭を下げ、また謝る。
「秋山さん、年明けにでも明白なお答えお待ちしておりますから、宜しくお願いしますね?
きちんとした対応が出来ない会社も社員如何なものかと思います。
全く、がっかりです」
優美子は蔑む視線を最期に朋子に落とし帰って行った。
「倉橋さん、お話がありますんで先程の応接室に来て下さい」
洋子も怒りを抑えるのに必死で一言朋子に言った。
「今は話せません!」
朋子は声をしゃくり上げながら言う。
「今話し合って手を打たないと大変な事になるんだよ!」
洋子の我慢の糸がプツリと切れ、目を釣り上げ朋子を睨んだ。
その姿はかつての洋子そのものに戻っていた。
「あんたなんかに話す事なんかないんだよ!
私はあんたが大嫌いなの!
自分の嫌いな人間を自分の機嫌次第で怒鳴り散らしてきた陰険なあんたがずっと大嫌いだった!
そんなあんたなんかと話したくもない!」
朋子は晴美から離れ、泣きながら洋子を睨み返して怒鳴り散らすと走り去る様にその場を後にした。
「倉橋さん!」
「朋ちゃん!」
背中越しに煩いくらい呼び止められたが、止まる事なく走り、駐車場に止まっている自分の車にエンジンをかけ、そのまま車を走らせた。