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第18章 女の本性

　

　そう言われても仕方ない。
嫌われているのは百も承知だった。
一度嫌われたら、その感情を覆すのは物凄く大変な事くらい洋子にも自覚はある。

　しかし、今はそんな事を言っている場合でもない。
朋子との信頼関係を取り戻すなんて事は二の次の話だ。
優美子から暴露された現実を穏便に肩をつける方が先決。
勿論、正面から自分を嫌いだと言われれば、いい気持ちはしないし、ショックだったり、傷ついたりで落ち込んでしまう。
ましてや、そんな人間の事なんてどうにでもなればいいという気持ちさえ湧くものだ。
しかし、現実はそんな人間の尻拭いまでしなくてはならないのだから、内心面白くない。

　そんな洋子の背中を見て面白がっているのは晴美だった。

　人の不幸は蜜の味とはよく言ったもんだ。
確かに自分の気にいらない人間が目の前で痛めつけられている姿を見るのは、『ざまぁみろ！』と言葉こそは吐かないが、『いいぞ！ヤレヤレ！』と痛めつけてくれる人を心底では応援しているもんだしね。

　そんな意地の悪い心を上手く隠して生きている人間は晴美だけとは限らない。
日頃から成績を取らなきゃいけないプレッシャーやストレスを抱えながら一緒に働いている仕事仲間達であっても、成績トップクィーンである朋子のスキャンダルは面白くない訳がない。

　営業所の嫌われ者の洋子と朋子のバトルなんて聞けば、お祭り騒ぎくらいの活気を見せて話は盛り上がる。
それに比べて、朋子を心から心配出来る人間は少ないのが現状の様だ。